強い風に、グレーのマフラーを、巻きなおす。 隣りの男は、寒い寒いと、先ほどから五月蝿いのだけれど。 「なぁ、さみーって…」 「っさいなぁ。なら付いてこなきゃいいっしょ。」 「んだよ〜、いいだろ別に暇なんだよ。」 そんな勝手な理由でついてきておいて、そんな薄着で外出なんかしておいて、それでアタシに文句言うなんて少し… いや、正直、すごくミガッテなんじゃねーの? 「…これ、貸してやるから、コンビニすぐソコだろ。我慢しなさいよ。」 「お! サンキュー。」 それでも、そう思っても、結局、この寒い中。使っていたグレーのマフラーが彼のトコロへと向かう程には、アタシの気持ちはコイツに向いちまっているわけで。 だいたい、こーいうトキって普通男が、貸してあげたりするもんだろ。(まぁ、貸すものなんか今のマサにはないけどさ) それどころか、アタシから素直に受け取るってどうよ? どーなの、ソレ。 「あ〜、まだ寒ぃ……てか、は寒くねーのかよ?」 今気づいたのか、それとも単に思ったことを口にだしただけなのか、すでに私のマフラーをしてるヤツはそう言う。 寒いに決まってんだろ、バカ。 「…アンタよりゃ暖かいっつーの」 でも、アタシの口からはそんな音しか出てこない。 結局、コイツに弱い、甘いんだ、アタシ。昔っから。 いつのころからか。 夏休みの宿題だって、毎年、新学期前夜に泣きついてくるコイツの分まで面倒見ることになってたし(もちろん、秀吉とアタシとマサ三人で分担)、 マサの部屋の大掃除が大晦日、ソノ日まで終りきってないなんてーのも毎年で、アタシと秀吉がカり出されるのも恒例行事と化してしまってる… 「そっか、サンキュ!」 でも、この笑顔みせられちゃ、なぁ……… さみぃ〜、なんつって、身を縮めるマサ。 零れた苦笑は、マサに対してなのか、アタシ自身に対してなのか。 「しょうがないから、コンビニ着いたら、手ぶらのキミの為に、肉まんか、暖かい飲み物でも買ったげますよ。」 声をかければ、キミの顔にまた笑顔が咲く。 単純なのはマサか、アタシか…もしかしたら甲乙つけがたいかも、しれない、よ、なぁ… 冷たい風吹くグレーの空の下。 コンビニまで、後少し。
しかし、それを僕 しか 認めないというのは
(いささか、納得のいかないことであるわけで、) 【 title:赤橙/pict:戦場に猫 】 2005.01.28→2008.07.22
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