「魔法が使えたらいいのになぁ、って」
「へ?」




 彼自身の左手を見つめて、零された言葉。




「ときどき、思わない?」




 上がった視線が、まっすぐあたしを射抜く。
 黒く澄んだ瞳が優しい色を運んで。
 そう、たぶん。
 世界はまったくの白黒で。
 そこに赤や、緑や、青色や。
 それをつかってできる、あらゆる中間色を、
 彼は持っていて。




「だから、」
「うん…?」




 柔らかく微笑うあなたから、




「魔法なら、使えるでしょ、相馬さんは」




 はなれることなんて、きっとできない。

 僕が出会い、別れて、さいごに辿り付く人。







 

「それはきっと、さんにだけだよ」
「残念。その"だけ"が、あたしには全てですから」


(♪GOMES THE HITMAN)