「お待たせいたしまし…た…」 「…おう」 「なんでいるんですか、あんた…」 レジに入ってといわれたので、急いで向かったそこには、見知った顔、同じみの無表情。 あたしは心底驚いたというのに、だ。 「店員さーん、これ欲しいんですけどー」 「いっ、ちょ、まだ売ってねーのに私物化すんな!」 頭の上におりてきたCDは、かち、と音を鳴らしたもんだから、慌ててケースを確かめる。 見た目にはなんともなくて、ほっと息をついた。 たしかにそんな強い力でたたかれたというわけでもないけれど、万が一ひびでもいったらどうする気なんだ! 「…お前まさか、売らないとかいうきか!」 「ちがっ! 割れてんのなんか、売れんでしょ、あんた仮にも客なのに」 「おいおい、れっきとした客だろ」 飄々と言うな。普通のお客さんは店員の頭に売りもん乗っけたりしないんだよ。 文句を言おうとしたけれど、マネージャーが裏から出てきたために口をを紡ぐ。 何事もなかったかのように、普段どうりにレジにとおした。 「ありがとうございました」 「ぷっ」 「!?」 普通にレジ業務を済ませたというのに、吹き出すとはどういった了見だ…! しかし、マネージャーが心配そうに向こうからチラチラ見ているので、文句を言ってやりたいのを必死にこらえ笑顔を作る。 早く帰れ…! 「また来て売上げ、上げてやるよ」 じゃ、と去っていくやつを見送る。 バイトなんだから店の売上げが上がろうが下がろうがあたしには関係ないんだって、 「わかって言ってんだろうな…」 絶対に。嫌がらせだよ、あの人…今度からは客だからって、むやみやたらに笑い振り撒かないようにしようと誓った。
規 格 外 の 君
(次の日には、湯浅と楠木が来るって…あの男早速ばらしやがった…!) ( 題:赤橙 / 画:MICROBIZ ) 2008.02.28 |