そもそも、そもそもに。桧山は、学生っぽくない。いや、性格はそりゃ間違うこと無き学生だけれど。
 ヒゲってなんだ、と言いたいのはソコなわけ。
 高校1年生が、ヒゲはやすって…ちょっと前まで中学生だったでしょ、あんた。




「ねぇ…なんでヒゲ、そらないの?」
「ぁあ?」




 雑誌読んでる桧山に、思ったそのままを声に出して聞いてみれば、
 それはそれは、とても、穏やかな視線が向けられた。




「うわ、何それ、何ソレ! 厳ついよ、ちゃん泣いちゃうよ」
「お前こそ、何キャラだ、ソレは…」




 それに、慣れてしまった、というべきか。
 中身をしってるこっちとしては、それほど怖がることも無く、返した、ふざけた返答。
 ツっと、目を細めて、こっちを見る人に、先ほどの厳つさを訴えてみる。




「だって今の桧山の顔見た? 怖かったよ! あたしが3歳の子なら絶対泣いてるし」
「何処の誰が3歳児だって? つーか、カガミでもない限りみれねーだろ、自分の顔なんか」



 なんのつもりか。ヒラヒラ、掌を振ってみせて。もともとの動作、読んでいた雑誌へと、視線を戻した。
 てゆうか、最初のあたしの質問は、スルーですか!




「ねぇってば、ヒ〜ゲ〜!」




 なんで剃らないの、って意味で言った言葉に、ズッ、とスベるように、というか実際スベった、椅子の上。

 お笑いでも、目指してるんですか。よ○もと行きたいなら、もっとがんばって、コケなあかんよ。




「いや、固有名詞みたいにして言うなよ…」
「っ桧山!」
「な、なんだ?」
「…固有名詞なんて、難しい言葉知ってたんだねぇ…」




 からかい半分、本気半分に言えば、




「ッマエは! オレを何だと思ってんだ!」




 とうとう、雑誌は机の上に。




「それは…まぁ、また今度教えたげるから…」
「なめてんのか…」
「うん、ちょっと…」(だって、たぶんあんたが言いたかったのは、代名詞、だよ)
「ぁ〜、もう、いいわ…」




 もう、何か言うということを諦めたらしい、目の前のヒゲさんは、またも、掌をヒラヒラとさせながら、机の上の雑誌、パタリ、と閉じた。



「でー、なんで?」
「ぁあ? 何がだよ?」
「だから! ヒゲなんで剃らないの?」




 ヒゲ、と、流石に、桧山のヒゲを指差すわけにもいかず、あたしの顎を指差せば、少し大きくなる瞳。
 てゆうか、さっきからのあたしの話し全く聞いてなかったわけですか…
 考えるように、ヒゲに触れる桧山に、ジトリ、とした視線を投げつければ




「んだ、その目は」




 降ってきた左手に、反射的に肩をすくめる。
 そのまま目を塞がれて




「…っちょっと!」
「は、ばっかじゃねー」




 直ぐに退いた左手の向う、口悪く、微笑むその顔に、何も言えなくなった。






君の手の中でオクラホマミキサー
いつだって、くるくると踊るのだ


【title by 赤橙】

2008.08.21