カロン、と歯にあたって、甘いアメの味が広がる。 今朝寄ったコンビニで、懐かしさに手に取ったそれは、袋詰めされたもので、自身が小さかった時分は、まだ、一つ10円で売られていただけではないか、と思う。 「あ、? …お前何食ってんの?」 「アメ。」 「いや、そういう意味じゃねぇし。」 たかが十円。だけど、小さな子供には、それは結構な値段だったのかもしれない。100円を持って駄菓子屋に駆け込んでいたことを思えば、きっと、大切な大切な、それだっただろう。 「朝コンビニで買ってきた。いる?」 「いや、もらうけど…飯は?」 「まだおなか空いてない」 「お前、それ、アメ食ってるからじゃねえの。」 泣いてる小さなあたしに、青い包装のソレを差し出したのは、幼馴染の彼で。今なら気付けるその優しさは、あの時には気付けなかった。 「これ食べる前から、おなか空いてなかったし。」 「朝から食ってて、空くも空かないもねぇんだよ。」 「…なんで、朝から食べてるって知ってんの?」 「今朝買ってきた飴がこんだけ減ってりゃ、誰でも気づくっつの…」 そういう、一つ一つ、その優しさも、気付けなかったことも、今、気付けたことも。 全部ひっくるめて、今のあたしがあって、何か一つでも欠けていたら、君とは出会えなかったかもしれないし、きっと、こうしてだっていられなかったはずで。 「飯はちゃんと食えよ。」 倒れても知らねぇからな、言いながらに、口の中へ飴玉を放り込む君は、もう覚えてなんていないかもしれないけれど。 「大丈夫よ。それ、魔法の飴玉だから。」 (何光年も遙か彼方から やっと届いた飴玉だよ) 「嘘つけ、お前…」 「さて、どうでしょう。」 (♪BUMP OF CHICKEN)
2009.02.06 |