「あれ、二人まだいたの?」

「桧山…日誌書いてるんだから、邪魔しないでよ!」



嫌なときに、きたなぁ、と思う。

何も、あたしとがいるときにこなくてもいいのに…



「んなもんしねーよ!」



気に障ったらしい(そりゃそうだろうけどさ)桧山は、それを解りやすく表にだしたものだから、

不穏な空気を察知したらしいが、声をかける。普段そんなこと滅多にしないのに…



「桧山くんは何しにきたん? 部活は?」

「おー、あるけど、忘れ物、取りに来たんだよ」



あんまり話したことの無い人は得意じゃない、と言っていた割には、が桧山に向けるのは笑顔。

苦手だというのなら、笑う必要は無いと思う、なんて思うあたしは、可愛くないなぁ…ほんと…

人見知りの強いというは、笑って、桧山に返事を返す。

きっと愛想笑いだよ、どんまいだね、ヒゲ。



ちゃん、コイツと当番なの?」

「ちゃうよ〜、付き添い付き添い」

「まじ、優しいな」

「あはは、そんなことないよ、やってあたしが当番でも待ってくれよるもん」



本格的、話す姿勢に入った桧山は、の横の席に座って懸命に話しかけてる。

それにイライラしながら、適当に日誌を書き上げた。



「書けた! っていうか、ヒゲ大臣、部活は? 忘れ物は?」

  (さっさと、どっか行っちゃえばいいんだよ…)



少し睨んで聞けば、



「オメーが座っててとれねーんだろ」



むっとして、返ってきた言葉。

そういえば、ここは桧山の席だった…(いや、まぁ、座るときに実はちょっと意識してたけどさ…)



「じゃあ、さっさと言えばいいのに…ドレ?」

「あーあー、悪かったよ。中に、アンケートあんだろ」


意外とキレイな机の中、きっと、置き勉してるわりに、机の上に教科書出したりしないからだ。

プリントだって、床に落ちてるどれかの元持ち主が、コイツなんだ。

折り目一つなさそうな教科書の一番上、素のままに入ってる紙を取り出す。



「これ?」

「おー、それそれ、サンキュ」

「っ…はやく部活いってきなよ」



追い払うように、用紙を渡す時、ほんの一瞬、桧山の指先に触れた、というよりは掠った手、ふらりふらり、振れば

桧山は、触れたことにも気付かないみたいに、気付いてたとしても、気になんてかけないから、

あたしの言葉に、さっきから機嫌悪ぃな、小さく独りぼやいて。




「んじゃーな、ちゃんまたね」




手を振って出て行った。

右手、一瞬つたわった熱は確かに残って

 変なもの、置いてくなよ…

追い払う、なんてことはできなかった。






涼しい顔の君が少しだけ憎らしい
根本の理由は、わかってる、わかってるよ


【題:karma.
修正&UP 2008.05.16