「ネーさん」

「いややで」

「まだ何も言ってネーっしょ」





 次にくる台詞が簡単に予想できて、声になる前に否定の声を上げる。

 そうすれば、目の前の彼から返ってきたのは、予想に反して、ぶすったれた台詞と表情。

 案外、素直に子供っぽさを出すんだなぁ、と、変に感心してしまう。

  なんか、絶対そういうの見せへんタイプかと思ってた。




「ネー、マネしようって」

「赤星もするん?」

「オレは選手だし」



  じゃー、その誘い方はおかしいと思う。

  っていうか、あたしが好きなのは、サッカーであって、間違っても野球じゃない。




「あたしは、野球に興味ないですからー」

「オレには興味あるっしょ?」




 自分の顔を指差してニコリと笑っても…




「可愛くないで…?」

「え? カッコイイ?」

「ソウダネ…」



 適当に相槌を返せば、またも、ネー、と。



「なんやな?」



 溜息と同時、返事を返す。

 また、マネなれって言ったら、今度はあの広いデコをしばいてしまってもいいだろうか。っていうかしばく。

 7cm高い身長、くるり、振り返って、見上げようとして、目を細めた。



「マネんなったら、オレのこと一番近くで見れるんすけど…」

「…ふーん」



 調度、上手い具合の逆行が、影をつくって、表情が、読み取れない。

 いつもの、フザケた声色じゃないような…



「またまた、そんな興味ないフリして…」

「…気のせいか」



 気がしただけだった。隣にきた赤星は、いつもと同じ、ニヤリと形容するのが一番あってるあの顔で笑う。

 幸か不幸か、彼の場合、実力が伴ってしまうせいか、こう言うフザケた発言が限りなく本気であるように感じる。けれど、

  いや、きっと冗談やんな、冗談やって(じゃなかったら、嫌やし)





「ネー、だから、さん、マネ…でっ!」

「しつこい」



 また、ネー、が始まったので、先ほどの決意どうり、広いデコを叩いてさしあげた。






太陽に背中を向けないで
今どんな顔してる?


【title by 赤橙】

執筆:2006.08.06  修正:2008.04.22