そら、やりたいことなんてのは、山ほどあるわけよ。僕だって男の子だもの。いや、子とかいっていい年齢はとうに過ぎてるかもしれませんけどもね…? たとえば、君抜きにしたってだ。欲しいものなんか数え切れないほどにあって、やりたいことなんて一生生きてる間にどれだけできんのかとか、考えたりなんかしちゃったら最後なわけで、一生、で足りるわけはなくて、それに加えて、なわけや。最近はもっぱら君関係なわけでもあって、口にだしたら嫌われてしまうんやろうことだって、君とならしたいわけさ。男の子だもの。そう、男やから、しょうがないわけや、そういうのは。もうこれは生物学的なあれなわけでして、決して別に俺が助平だとか変態だとかエロだとかそういうあれは関係ない。いや、むしろ、俺えらいって。こんなに、こんな可愛い笑顔で話しかけてくる相手にどれだけ我慢してるかとか…俺理性的、すっげー理性的。 「忍足さん?」 「ん? なんや?」 ほら、ほらな! こんな可愛い態度の彼女にさ、覗き込んできて上目使いな彼女に対してさ、微笑んで疑問符って、できひん、普通できひん! 俺は褒められてしかるべき! 「いえ、なんだか静かだったのでどうかしたのかな、と」 「あぁ、夕飯どうしよかと思って」 「あ、スーパー寄るんですか?」 「それをどうしようかとねぇ」 はい、まぁ、嘘ですけども。が可愛いなーとか考えてた、とかって、そんないくらなんでも、親父臭い発言はできません。できませんから。 考えなあかんかったこと、を、言って、さて、本当にどうしようかと、夕飯の献立を考える。 別に言うたら、茶漬けでもかまへんわけやけど…どうにも、隣を歩くさんは、俺が茶漬けで済まそうとしたら怒ってしまわれるわけで。もっと栄養あるもの食べてください、と説教を受けた後は、まぁ、彼女がご飯を作ってくれるという、いろんな意味でおいしいイベントが起こったりもする。かといって、昨日怒られたところの今日でそれをするっていうんは、 「さすがになぁ…」 「はい?」 「いやいや、こっちの話し」 もう、あれか、いいか、野菜炒めで。 野菜入るし、肉もいれたら、栄養もあるやろ、うん。 「肉だけ、買ってくか…」 「スーパー寄るんですか?」 「そうします」 こくりと頷いてみせれば、可愛い君は、あたしも寄るんでご一緒します、だとかいって、そりゃーもう可愛い笑顔で、もうね、なんですか。惚れた弱みっていうより、あれだ。惚れたがための試練っていうんか、こういうのんは。どうなんや、そこんとこ。恋のキューピッドだか、神様だかに、問い詰めたいが、ズキュンとハートに来た笑顔と台詞に、なんとか思いとどまって、 「ほな今、タイムセールやろうし、いいの無くなる前に急ごか!」 手を引いて、走りだす。 驚いて小さく声を上げた君の頬がほんのり紅い理由が、夕焼けのせいだけと違ったらいいのに。
まずは、そう、手を繋ごうか
(手をとって走ってる理由がタイムセールってのが庶民的であれやけど) ( title by : 赤橙 ) 2008.08.16
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