そもそもから突飛な人だというのには、否定をする気にもならない。付き合って面白い部類でもない自分に、好き好んでこうして話しかけてくる時点で、おかしいのは明らかだ。けれど、こうも、いきなり、唐突に、何の前触れもなく言葉を投げられれば、些か、戸惑いもしてしまう。 「って先輩のこと嫌いなの?」 そこまでする必要は無いだろう、と言いたくなる程、首を傾けて見せたのは、きっと態とだったのだろう。けれど生憎、言われた言葉に驚いてしまったせいで、その行動を拾うことはできなかった。 「あなたの先輩というと…新城様、ですか」 「そー、新城様」 自分の言い方を真似たらしい呼び方で、彼の人の名を口にする。 何処か、誇らしげに響いたように思うのは、気のせいではないのだろう。 「嫌う程の付き合いがありませんね」 「だから、俺がいるのに」 「は…?」 理解し難い回答に、はて、と、首を傾けたなら、彼は然も当たり前であると言いたげに、にいっこり、と口角を持ち上げた。 「方や俺の、尊敬する先輩」 「はぁ…」 それは知っている。新城様の素晴らしいところを、まるで彼自身の自慢話でもするかのように話す様を毎度見せられれば、知らないでいるほうが難しい。 「方や俺の、信頼おける友人殿」 「はぁ、ありがとうございます…」 何処か芝居がかった言い方だったけれど、優しく弧を描く瞳には多分、自惚れても良いのだろう。 「合わないわけが無いと思わない?」 「それは…」 全く以て、何の根拠にもなっていない理由だ。 けれど、多分、そう言う事では、無いのだろう。何故か彼は、自分と新城様とに、仲良くして欲しいらしい。それはもしかしたら、心許せる人の少ない自分を思ってくれてのことかもしれないし、ただ単に先輩自慢の延長ということも考えられる。けれどまぁ、彼が其程まで心酔している先輩なら、全く興味が無い、ということもない。 「紹介していただけるんですか?」 「そうこなくっちゃ!」 問い掛ければ、待ってましたと言わんばかりに破顔した。この喜びようから考えると、やっぱり"先輩自慢"の延長なのかもしれない。 「いつがいいかなぁ」 自分に聞いているのでは無いらしく、天に向かって唄うようにそう言った人は、満足したのか、ごろり、と地べたに寝ころがったまま、寝息を立て始めてしまった。
僕の居場所なら、君の隣だよ
(大切な人の大切な人を大切だと思えたのなら、) ( title by : 赤橙 ) 2008.11.23
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